開校式での挨拶】
故松田耕平オーナー
■カリブの夢に賭けた松田耕平オーナー
広島東洋カープ球団は、プロ球団を経営する一企業として、球団の財産ともいえる選手の発掘、育成には最も力を入れている。
当時の日本プロ球界の外国選手の補強ルートは、ほとんど米国からであった。
しかも、一人の外国選手に投資する巨額の金と、その選手の働きは必ずしも額面通りではなかった。
親会社を持たないカープ球団は、割の合わないムダな巨額の投資で、外国選手を獲得、補強するよりも、カープ球団独自の立場で、野球の盛んな中南米諸国に着目した。
その諸国のなかでも、国情が安定しており、しかも、米大リーグヘ多くの選手を送り出している、ドミニカ共和国を候補地に選び、何度となく現地視察をし、駐日大使館、同地の政府筋の支援、協力の確約を得てアカデミーが誕生したわけである。
もちろん、わが国の外務省も、カープ球団の野球を通じて、同国との友好親善の果たす役割に、理解を示したのも大きかった。
このアカデミーの実現に賭けた、松田耕平オーナーの並々ならぬ情熱は、わが国のプロ球界はもとより、米リーグにも大変な話題を呼んだ。
松田オーナーは、ドミニカ共和国の習慣を尊重し、さらに同国に進出している米大リ−グのアカデミーと協調しながら、発展を図ることに心を配っていた。
ここに、当時の開校式での松田オーナーの挨拶を紹介しよう。
■オーナー挨拶
「本日、ここにバラゲール大統領閣下のご臨席をいただき、私どもの広島東洋カープ野球アカデミーの開校式を迎えることが出来ましたことは、これにすぐる光栄はございません。
アカデミーが開校できましたことは、大統領閣下をはじめ、ただいまこの席にご臨席を賜りました、政府関係の皆様、野球スポーツ関係の皆様、さらに工事関係の多くの方々のご理解と、ご支援の御蔭だと思っております。
この席を借り、皆様に心より感謝とお礼を申し上げます。
ドミニカ共和国は中南米緒国の中でも、もっとも野球の盛んな国で、数多くの優れた選手が米国のプロ野球界で活躍されております。
日本もまた、野球の盛んな国でございます。
私どもは、日本でプロ野球の球団を経営する一企業として、選手の発掘、育成に最も力を入れている球団と自負しております。
私どもがここへ参りましたのは、学び教えるためでございますが、特にドミニカの青少年が技術習得を通じ、さらに進歩できるよう援助するためであります。
このアカデミーで育成した、ドミニカ共和国の若い素質ある選手が、日本のプロ球界で活躍してくれることが私どもの願いであり、夢でもあります。
その願いと夢が実現することが、日本とドミニカ共和国のスポーツの交流、発展さらに両国の友好親善を一層深めることになると確信しております。
そのためにも、このアカデミーの選手たちを大切に育てて行きたいと念じております。
この目的を達成するためにも、今後とも皆様政府関係各位、ならびにドミニカ共和国国民の変わらぬご支援、ご厚情を賜らんことを切にお願い申し上げます。
大統領閣下の最も温かいご支援の御蔭で、 私ども広島東洋カープ野球アカデミーは、立派に完成いたしました。
バラ[ル大統領閣下、本日は開校式にご臨席を賜り、激励をいただき、ありがとうございました。
ドミニカ共和国の皆々様、スポーツ界の皆様、深いご理解をいただき本当にありがとうございました。
これにより、私の挨拶の言葉とさせていただきます。

1990年11月29日(金) 広島東洋カープ
ベースボールアカデミー開校式松田耕平オーナーの挨拶より



アカデミーの工事現場風景と建設途中のメイングランド
アカデミー建設風景
アカデミー・メイングランド

アカデミーの開校式風景
バラゲール大統領(当時)ヘリで到着
開校式警備の軍兵士(左)と警察官(右)
Officinaロビー 松田オーナー
VIP来場
アカデミー練習生の入場行進
屋根の上で兵士が銃を構える
開校式・両国国歌の演奏
カープ阿南氏・古川・カープ田中氏
開校式終了後のスナップ
Hotel do Santo Domingoでのレセプション
Hotel do Santo Domingoでのレセプション
Hotel do Santo Domingoでのレセプション

inserted by FC2 system